東京高等裁判所 昭和42年(行ケ)33号 判決
原告主張の請求原因事実は被告の認めるところであり、右争いのない事実によれば、本件拒絶査定謄本の送達のあつた昭和四十一年七月二十五日から計算して法定期間内になされた本件抗告審判の請求は適法なものというべく、この点の判断を誤つた本件審決は違法として取り消しを免れない。
よつて、原告の請求は、これを認容することとする。
〔編註〕 本件における当事者の主張は左のとおりである。
一 原告訴訟代理人は、主文と同旨の判決を求め、被告指定代理人は、請求棄却の判決を求めた。
二 原告訴訟代理人は、請求の原因として、次のとおり述べた。
1 原告は、昭和三十三年三月二十五日、名称「動力防除機」につき、実用新案登録出願(実願昭三三―一四九八六号)をしたところ、昭和四十一年五月二十七日拒絶査定があり、その謄本は同年七月二十五日出願代理人に送達された。そこで、原告は、同年八月二十四日抗告審判を請求(昭和四十一年抗告審判第九六号)したが、昭和四十二年一月十七日、「本件抗告審判の請求を却下する。」との審決があり、その謄本は、同年一月二十八日送達された。
2 審決の理由は、「本願に対する拒絶査定の謄本が昭和四十一年七月二十四日出願人の代理人に送達されたことは、大阪中央郵便局の郵便物配達証明書によつて明らかであるから、本件抗告審判の請求は、法定期間内である同年八月二十三日までにされなければならないところ、その請求は、同月二十四日にされているので、不適法である。」というにある。
3 しかし、本件審決は、誤つた送達の日を前提として請求を却下した違法のものであり、取り消しを免れない。
すなわち、本願に対する拒絶査定の謄本が送達されたのは、前記のように昭和四十一年七月二十五日であるにかかわらず、本件審決は、これを同月二十四日と認定しているが、右七月二十四日は日曜日であつて、しかも、出願代理人は事務所をビルの一室におき日曜日には執務していないばかりか、宿直の者もおいていないのであるから同日に送達されることはありえないのみならず、原告が、大阪中央郵便局について調査したところによつても、送達の日は七月二十五日であることが確認された。
もつとも、右謄本の送達の日については、さきに、特許庁からの請求に対し、大阪中央郵便局から、七月二十四日に送達された旨の証明書が送付された事実があり、その後昭和四十二年二月八日にいたり、右送達の日を七月二十五日に訂正する旨の書面が送付されたが、本件審決は、右の送達の日の表示を誤つた、最初の証明書に基づいてされたものであることが明らかである。
本件抗告審判の請求が同年八月二十四日にされたことは前記のとおりであるから、右請求は、法定期間内にされた適法なものというべく、これを不適法として却下した審決は取り消されるべきである。
三、被告指定代理人は、答弁として、請求原因事実はすべて認めると述べた。